最近ニュースでよく耳にする「リセッション(景気後退)」という言葉。
株価や経済ニュースで頻繁に登場するものの、「なんとなく不況のこと?」と曖昧なままの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、リセッションの正しい意味・原因・株価や生活への影響を、経済初心者でも理解できるように丁寧に解説します。
「リセッション=悪いこと」ではなく、経済サイクルの一部としてどう捉えるべきかも紹介します。
リセッション(景気後退)とは?基本の意味をわかりやすく解説
リセッションの定義(景気後退局面)
「リセッション」とは、経済活動が一時的に後退する状態を指します。
英語では “Recession” と表記し、日本語では「景気後退」と訳されます。
GDP(国内総生産)が前期比でマイナス成長となる状況が続くと、経済が縮小している=リセッションと判断されます。
定義や基本用語の確認には、初心者向けにまとまったリセッションの基礎解説が参考になります。
景気循環(好況 → 後退 → 不況 → 回復)の流れ
経済は常に一定の周期で拡大と縮小を繰り返す「景気循環」の中にあります。
- 好況期:企業業績が好調で雇用・消費が拡大
- 後退期(リセッション):需要が減り、成長が鈍化
- 不況期(デプレッション):経済活動が停滞・失業率上昇
- 回復期:金融緩和・投資再開により経済が持ち直す
つまり、リセッションは「好況から不況に向かう過程」であり、永続的な危機ではありません。
不況との違い:「リセッション」と「デプレッション」の関係
- リセッション(Recession):短期的な景気後退(数か月〜1年程度)
- デプレッション(Depression):長期的で深刻な不況(数年以上)
緑のポイント:
「リセッション」はあくまで一時的な調整局面であり、経済の健全なリズムの一部です。
リセッションが起こる主な原因
リセッションの背景には、企業・家計・金融市場など、複数の要因が複雑に絡み合っています。
金利上昇や金融引き締めによる景気減速
中央銀行(日本では日銀、米国ではFRB)が金利を引き上げると、借入コストが上昇します。
企業の投資意欲や個人の住宅・車の購入が減り、経済全体が冷え込みます。
消費・投資の低下による需要不足
物価高や将来不安によって消費が落ち込むと、企業の売上が減少。
結果として設備投資も縮小し、雇用や所得が減るという負のスパイラルが発生します。
供給制約や原材料高騰による企業活動の鈍化
エネルギー価格や原材料の高騰、サプライチェーンの混乱が生じると、
製造コストが上昇し、企業の利益が圧迫されます。
世界的要因(戦争・パンデミック・国際金融不安など)
リセッションは一国の問題にとどまりません。
戦争や感染症流行、為替急変など国際的ショックによって世界同時に景気が冷え込むこともあります。
リセッションの判断基準と経済指標
GDPが2四半期連続でマイナス成長(欧米の基準)
アメリカなどでは、実質GDPが2期連続でマイナス成長になるとリセッションと公式に判断されます。
これは「2四半期ルール」と呼ばれる有名な基準です。
日本の判断指標:景気動向指数(DI)の低下
日本では内閣府が発表する「景気動向指数(DI)」の動きを基準に、
景気が後退局面に入ったかどうかを総合判断します。
失業率・企業倒産件数・生産指数などの補助指標
- 失業率の上昇 → 雇用環境の悪化
- 企業倒産件数の増加 → 企業の資金繰り難
- 鉱工業生産指数の減少 → 製造業活動の鈍化
これらのデータもリセッションを示す重要なシグナルです。
主要指標の基礎は、用語集形式で整理されたリセッションと関連指標の解説が分かりやすいです。
リセッション入りを早期に察知するための見方
経済ニュースでは、以下の兆候が見られたら警戒サインとされています。
- 株価の下落が続く
- 長短金利差(イールドカーブ)が逆転
- 企業の設備投資が鈍化
- 消費者信頼感指数の悪化
赤の注意点:
こうした兆候は単独では判断できません。複数のデータを総合的に見ることが重要です。
リセッションが株価・投資に与える影響
景気後退局面で株価が下がるメカニズム
リセッション時は企業業績が悪化し、将来の利益期待が低下します。
その結果、投資家が株を売却→株価が下落という流れが起こります。
投資家心理の悪化とリスク回避行動
投資家は不確実な時期にリスク資産(株・仮想通貨など)を避け、
安全資産(国債・金・現金)に資金を移す傾向があります。
これが「リスクオフ相場」と呼ばれる現象です。
過去のリセッション時の株価動向(例:リーマンショックなど)
- 2008年 リーマンショック:世界的な信用不安で株価が半減
- 2020年 コロナショック:経済停滞で日経平均が急落後、金融緩和で回復
緑のポイント:
リセッション期の株価下落は一時的。長期的には回復局面で大きな上昇チャンスになります。
投資への影響や心構えは、初心者向けの株価への影響を解説する記事が具体例つきで理解しやすいです。
不況期に強い業種・投資戦略の傾向
- 生活必需品・医薬品・電力など防御型セクター
- 配当株・インフラ株・公的支出関連銘柄
- 現金比率を高め、暴落後に買い増す戦略
リセッションでは「守りの投資」に徹し、次の回復期に備える姿勢が大切です。
リセッション時に個人が取るべき行動
資産を守るためのリスク分散(現金・債券・金など)
投資ポートフォリオを見直し、株・債券・金・現金をバランスよく保有しましょう。
現金比率を増やすことで、急な下落局面にも対応できます。
長期投資視点でのチャンスの見極め方
リセッションは株価が割安になるタイミングでもあります。
焦って売るのではなく、長期的な成長企業やインデックス投資を継続するのが賢明です。
家計・生活面での備え(貯蓄・支出見直し)
リセッション期はボーナス減少や雇用不安も。
- 固定費の見直し
- 生活防衛資金の確保(3〜6か月分の生活費)
- クレジットの過剰利用に注意
赤の注意点: 無理なローンやリスク投資は避け、現金流動性を重視しましょう。
リセッションと金融政策の関係
中央銀行の対応:利下げ・量的緩和など
景気後退局面では、中央銀行は政策金利を引き下げ、資金供給を増やすことで景気を刺激します。
金利が下がると借入コストが減り、企業や個人の支出が回復します。
政府の景気刺激策(財政出動・減税など)
政府は同時に公共事業・補助金・減税などの政策を実施し、需要を支えます。
2020年のコロナ禍では、世界各国で大規模な財政出動が行われました。
政策対応の遅れがもたらす影響
政策が遅れると、企業倒産や失業が増え、回復まで時間がかかります。
迅速な金融・財政政策の連携が景気回復のカギを握ります。
まとめ:リセッションは避けられないが、備えはできる
- リセッション=景気後退は経済サイクルの一部
- 金利上昇・需要減少など複数要因で発生
- 株価は短期的に下落するが、長期的には回復局面が訪れる
- 個人は「守りの資産配分」と「長期目線の投資」で乗り越える
緑のポイント:
リセッションは恐れるものではなく、「次の成長への助走期間」です。
知識と備えがあれば、混乱の中にもチャンスを見出せます。

