借用書の書き方とは?正しい手順と必須事項を解説
お金の貸し借りは信頼関係が前提ですが、それだけに頼るのは危険です。万が一のトラブルを防ぐためにも、正しい借用書の書き方を理解しておくことが重要です。
この記事では、法的効力を持たせるために必要な記載項目、作成時の注意点、テンプレートの例などをわかりやすく解説します。個人間の貸し借りからビジネスの資金取引まで、幅広く役立つ内容となっています。
借用書と金銭消費貸借契約書の違い
まず混同されがちな用語として「借用書」と「金銭消費貸借契約書」があります。
- 借用書:借主が貸主に対して「借りました」と証明する書面。署名や日付のみの簡素な形式が多い。
- 金銭消費貸借契約書:貸主・借主の双方が契約に同意したことを示す文書。契約の証拠として強い効力を持つ。
法律的な拘束力を持たせたい場合は、借用書でも一定の記載要件が必要です。借用書と金銭消費貸借契約書の違いについては、マネ会の記事がより詳しく比較しています。
借用書の書き方|必ず記載すべき項目
借用書の書き方において、以下の項目は最低限記載が求められる内容です。
- 借用金額(数字と漢数字の併記)
例:「金五十万円(¥500,000)を借用いたします。」 - 借入日と返済期限
借入日:「令和7年7月21日」
返済日:「令和7年12月31日までに一括返済」 - 利息の有無
「無利息で借り入れます」または「年利5%で利息を支払います」 - 返済方法
一括返済/分割返済(月々いくら、何回払いなど) - 契約当事者の情報
貸主と借主の氏名・住所・電話番号
認印または実印の押印 - 日付と署名(自筆が望ましい)
日付の記入は契約の有効性に関わるため必須です。
借用書の書き方における注意点
- 書面で残すことの重要性:口約束では証拠が残らず、万が一の裁判時に不利になります。手書き・印刷問わず書面で残すことが信頼の第一歩です。
- 印紙税の確認:借用書に記載された金額によっては、収入印紙の貼付が必要な場合があります(例:借入額5万円超は200円印紙)。
- 第三者の署名(保証人):保証人の記名押印があることで、貸主はさらに安心できます。法的には連帯保証契約書を別途用意するのが理想です。
借用書のテンプレート例
以下は一般的な借用書の書式例です。
借用書 私〇〇〇〇(以下、借主)は、〇〇〇〇(以下、貸主)より、金五十万円(¥500,000)を借用いたしました。 借入日:令和7年7月21日 返済期日:令和7年12月31日までに一括返済 利息:無利息 上記の通り借用し、必ず期日までに返済いたします。 令和7年7月21日 借主氏名:〇〇〇〇(自署) 住所:〇〇県〇〇市〇〇町〇〇 電話番号:090-0000-0000 印
電子データの借用書は有効?法的効力と注意点
現代ではLINEやメールで「借りた・貸した」とやり取りするケースも増えていますが、法的に強い証拠力を持つのは、紙に書かれ署名・押印された借用書です。ただし、電子署名がある場合は電子契約として有効です。
電子的な借用書や契約の扱いについて詳しく知りたい方は、チェスター税理士法人の解説ページも参考になります。
借用書作成後にすべきこと
- 原本は貸主が保管
- コピーを借主に渡す(内容の共有)
- 必要であれば、公証役場で公正証書にするとさらに強力です。
借用書の書き方で未来を守る
借用書は単なる形式ではなく、信頼を形にした証明です。書くことは、責任を明確にし、関係を守るための第一歩です。特に金銭に関する約束は、どれほど親しい間柄でも書面で残すことが最善策です。
お金の貸し借りには、互いの関係性を壊すリスクがつきまといます。だからこそ、明確な書面で信頼を可視化することが大切なのです。
筆者のひとこと:信頼とは、形にしてこそ続くもの
人は、ときに言葉を誤解します。どれほど親しい相手であっても、記憶や解釈は人それぞれ。信頼は「記録」することで初めて守られるのだと思います。
書くことは、責任を持つこと。そして、貸すことは、信じること。
その真ん中にあるのが、借用書という小さな証明書です。
それは、あなたの大切な「信頼」を守る盾にも、橋にもなるのです。

