経費精算の効率化やキャッシュレス化が進むなか、多くの企業が導入を検討しているコーポレートカード(法人カード)。
しかし、便利な反面、管理リスクやコスト負担などのデメリットも存在します。
この記事では、コーポレートカードの仕組みとともに、導入前に知っておくべき注意点・トラブル事例・対策方法を詳しく解説します。
コーポレートカードとは?導入の目的と基本機能
コーポレートカードの仕組み(法人・個人事業主向けクレジットカード)
コーポレートカードとは、会社名義で発行される法人用クレジットカードです。
社員が出張費・交際費・備品購入などの経費を立て替える代わりに、このカードで支払うことで、経費処理を効率化できます。
経費精算の効率化やキャッシュレス化の促進
社員が個人立替をせずに支払いができるため、精算業務が大幅に削減されます。
また、現金の扱いが減ることで、キャッシュレス化による経理の透明性も向上します。
会社決済型・個人決済型の違い
種類 決済方法 精算フロー 特徴
会社決済型 会社口座から引き落とし 社員精算不要 大企業・中堅企業向け
個人決済型 社員の口座から引き落とし、後日会社が精算 個人事業主・中小企業向け 審査通過が比較的容易
コーポレートカードの主なデメリット
参考:導入前に押さえるべき費用・審査・運用の注意点は、コーポレートカードのデメリットと注意点の解説も確認しておくと理解が深まります。
1. 年会費・発行手数料が発生する
法人カードは、一般的に年会費や追加発行費用がかかるのが一般的です。
特に、社員1人1枚発行する場合、社員数×年会費のコストが積み上がります。
さらに、ゴールド・プラチナカードは特典が多い反面、年会費が1〜5万円と高額になるケースもあります。
2. 社員による不正利用・私的流用のリスク
最も大きなデメリットが、社員による私的利用・経費の不正申請です。
業務外の飲食費や私用交通費を経費として計上するなど、社内不正の温床となるケースがあります。
赤の注意点:
「会社のカードだから使っても大丈夫」といった誤解が生まれやすく、ルールが曖昧なまま導入すると不正リスクが高まります。
運用ルールや承認フローの整備ポイントは、法人カードの不正利用を防ぐ運用ガイドが実務的です。
3. 紛失・盗難時の情報漏洩リスク
カードの紛失・盗難による不正利用や情報漏洩のリスクもあります。
特に、オンライン決済で利用する場合、カード番号の漏洩や不正請求が発生する恐れがあります。
4. 利用明細の管理・承認作業の手間が残る
カードを導入しても、利用明細の確認や承認業務は必要です。
経理担当者が全社員のカード利用を追跡し、不正や誤計上を防ぐ管理体制を維持する手間は残ります。
5. 与信審査に時間がかかる場合がある
法人カードは、企業の信用情報(決算書・登記簿・設立年数など)に基づいて審査されます。
スタートアップや赤字企業の場合、審査に通りにくい・発行まで時間がかかるケースもあります。
経理担当者が注意すべき実務上のリスク
利用明細の確認漏れ・経費不正申請の温床
カード利用が増えるほど、明細のチェック漏れが発生しやすくなります。
1人あたり数十件の利用をすべて目視確認するのは非効率で、不正や入力ミスを見逃す原因になります。
経理担当者が全社員のカード利用を追いきれない
カードの発行枚数が多い企業では、全社員分の利用監査が事実上不可能です。
承認フローが整備されていないと、経理の負担が増加し、社内統制が崩壊するリスクがあります。
会計ソフト連携が不十分なカードを選ぶと効率化できない
古いタイプの法人カードでは、会計ソフトとの自動連携が非対応の場合もあります。
CSVダウンロードによる手入力が必要になり、導入効果が半減します。
明細の自動連携や仕訳自動化の有効性は、明細自動連携による経費管理効率化の解説も参考にしてください。
コーポレートカードのデメリットを防ぐ対策
【対策1】利用ルールを明文化して社内周知
利用目的・経費範囲・報告期限などを社内規定に明文化し、社員に周知します。
「飲食費は上限○円」「出張費は交通+宿泊費のみ」など、明確な基準を設けましょう。
具体的な規程づくりのヒントは、法人カード運用ルールの作り方が有用です。
【対策2】利用限度額・カテゴリ制限を設定
カード会社によっては、利用上限や利用カテゴリを制限できる機能があります。
部署ごと・役職ごとに上限を設けることで、不正利用を未然に防止できます。
【対策3】明細を自動連携できる会計ツールを導入
freee、マネーフォワード、弥生などのクラウド会計ツールと自動連携すれば、明細確認や仕訳作業を自動化できます。
これにより、経理担当者の負担を大幅に削減可能です。
自動連携のメリットと実例は、クラウド連携による経理効率化のポイントがわかりやすいです。
【対策4】定期的な利用モニタリングと監査
月次や四半期ごとに利用状況を確認し、不自然な利用がないかをチェックします。
社内監査担当や上長承認フローを組み込み、内部統制を強化しましょう。
導入コストに関する注意点
年会費・追加カード発行費用・付帯サービス料の確認
法人カードのコストは年会費・追加発行費用・付帯保険料で構成されます。
複数カードを発行する場合は、総コストを事前に試算しておくことが重要です。
無料カードと有料カードの違い(付帯保険・サポート内容)
種類 年会費 特徴
無料カード 0円〜1,000円 機能は限定的、付帯保険なし
有料カード 3,000円〜5万円 旅行保険・ラウンジ・決済限度額が高い
コストを抑えたい中小企業には、無料〜低年会費の「法人カード」もおすすめです。
経費削減目的なら「中小企業向け法人カード」も検討
スタートアップや小規模企業向けには、freeeカード・弥生ビジネスカード・三井住友ビジネスカードなど、
年会費無料でクラウド連携機能を備えたカードもあります。
コーポレートカードのメリットも理解してバランスよく判断
経費精算の手間を削減できる
社員が個人立替をしなくなるため、経費精算・立替払いの手間を大幅削減できます。
キャッシュフローが改善される(支払い猶予あり)
カード払いには1カ月程度の支払い猶予(与信期間)があるため、キャッシュアウトを遅らせることができます。
この点は資金繰りの改善にも寄与します。
出張・購買など法人限定特典を活用できる
ホテル・航空券・広告費などの決済における法人割引やポイント還元も魅力のひとつです。
メリットとデメリットを比較して自社に最適な導入判断を
項目 メリット デメリット
経費精算 業務効率化 不正利用リスク
キャッシュフロー 支払い猶予で改善 年会費コスト
管理業務 明細自動化が可能 管理体制の整備が必須
緑のポイント:
導入効果は大きいが、管理体制を整えなければ逆効果になる可能性があります。
コーポレートカード導入前のチェックリスト
利用目的を明確化(出張費・広告費・備品購入など)
社員数・利用頻度に合わせたカード選定
経理体制・承認フローを整備してから導入
セキュリティ体制(利用制限・二重認証)を確認
会計ソフト連携や自動仕訳対応をチェック
まとめ:コーポレートカードは「便利さ」と「管理リスク」が表裏一体
コーポレートカードは、経費精算・資金管理の効率化を実現する強力なツールです。
しかし、導入時にルールや体制を整えないと、不正利用・情報漏洩・管理コスト増大といったトラブルを招く恐れがあります。
ルール運用で社内統制を強化
会計ソフト連携で業務効率化
モニタリングで不正を未然防止
緑のポイント:
「便利さ」だけで導入するのではなく、“管理の仕組み”を整えてこそ真の効果を発揮します。
自社に最適なカードと運用ルールを見極め、安全かつ効率的な経費運用を実現しましょう。

